三井住友銀行大阪本店
中村改革の幻想についてまとめたが、パナソニック借金1兆円、2兆5千億円喪失(4)が、前経営陣から受け継いだ負の遺産だ。日経新聞2012年12月13日は、資金繰りが困難になるパナソニックが、プライドを捨てて、銀行に資金調達を頼む様子が描かれている。
格付け格下げで社債発行が困難に
社債発行が難しくなる
パナソニックの新体制が発足した6月末、最高財務責任者(CFO)常務の河合英明(58)は資金繰りに頭を悩ませいていた。社債などの債務は1兆円を超える。格付けが引き下げられる中、すでに新たな社債発行も難しくなっていた。パナソニックの財務責任者が、資金繰りに頭を悩ます様子が描かれている。基本的に、社債は、格付けが高いほど、金利が安くなる。
格付けが低いほど、倒産リスクが高くなると認識されるため、対価として金利が高くなることは、受け入れやすいのではないだろうか。別の問題として、格付機関が格付けを適正に行っているのかという問題が浮上しているが、ここでは脇に置いておく。
パナソニック格付けは投機的水準 ジャンク債扱い
残念ながら、6月末よりもパナソニックの財務悪化は意識されており、パナソニック格付は投機的水準で倒産危機である点が意識されている。機関投資家の中には、投機的水準の格付けの有価証券には手を出さないとルール化しているところがある。パナソニックは、従来のように市場から、低い金利で大量の資金調達を行うことは、困難な情勢に追い込まれた形だ。いわゆる、ジャンク債と言われる格付けになっということである。
6月末に銀行と融資枠契約の検討
「このままではまずい」。悩んだ河合はついにパナソニックでは長年、禁じ手だった手段を部下に指示した。
「銀行と融資枠契約を結ぶようすぐ検討に入ってくれ。額は6000億円だ」今回の話は、6月末の話であると報じられているが、10月にパナソニックは銀行と融資枠契約を締結している。松下銀行と言われ、優良な財務体質を誇ってきたが、最早、余力がなかったようだ。
松下銀行
ふつうの企業では銀行から融資を受けるのは当たり前。しかし、パナソニックという企業では事情が異なる。
豊富な資金を背景に「松下銀行」とまで言われてきた同社にとって、銀行頼みは屈辱的なこと。特にメーンバンク三井住友銀行とは、大阪経済界の代表同士で張り合ってきた。パナソニックと三井住友銀行は、住友銀行時代から関西財界のトップとして、有名である。昔から、関西の有力企業の話しとなると、良い話、悪い話の両面で、この両社の名前が出てくることが多かったのではないだろうか。
パナソニックの力の源泉の一つは、優良な財務体質であった。企業金融の面で、銀行融資に頼ることは、社債など直接市場から資金調達が困難であることを表しており、財務悪化の象徴的な出来事であろう。パナソニック支払期間変更と資金繰り悪化を見ると、自動車業界と比べて取引条件が非常に悪く、取引先に資金繰りで負担がかかってりうことが分かる。
資金繰りに余裕無し
そんなプライドを優先できる余裕はもはやなくなったのかもしれない。河合の号令から3ヶ月たった9月末、ようやく三井住友銀などと融資枠契約を結ぶことが取締役会で承認された。10月にパナソニックは銀行と融資枠契約を締結している。日経新聞の報道を見る限り、パナソニックは、シンジゲートローン契約を結ぶ意思決定に、3ヶ月も費やしている。
とりまとめ役の、三井住友銀行とどういったやり取りがあったのかは分からないが、巨大企業と言う事もあり、意思決定が遅いと感じた人もいるのではないだろうか。
パナソニック資金繰りの真相について見てみると、銀行融資の申し込み、意思決定の遅さを見ると、厳しいと言わざるを得ないのではないだろうか。パナソニック社債 ジャンク債の衝撃(6)に続く。 スポンサードリンク
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