一時、デジタル家電は素晴らしく、白物家電はダメだという風潮があったように思えます。それは、単なる幻想であった事が、家電の国内出荷額を見ると明らかになっています。
(1)パナソニック赤字の原因は薄型テレビ事業
デジタル家電の国内出荷額の激減により、白物家電の国内出荷額が逆転していると、日経新聞12月26日2面が報じています。白物家電はパナソニックが得意とする分野であるが、パナソニック赤字の原因はテレビ事業に前経営陣が傾倒したことではないでしょうか。家電の国内出荷額を見ると明らかですが、国内出荷額が急落している事が分かります。パナソニック経営陣の、市場予測失敗が、パナソニックの苦境を生み出した背景である事が示唆されているのではないでしょうか。
(2)デジタル家電の出荷額が激減
テレビやカーナビの出荷金額が激減
電子情報技術産業協会(JEITA)が25日に発表したテレビやカーナビゲーションシステムなど民生用電子機器の11月の出荷額は前年同月比36.3%減の1199億円。16カ月連続で前年割れとなった。(日経新聞)パナソニック、ソニー、シャープなどが、薄型テレビ、液晶パネル、プラズマテレビへの投資の失敗により、投資の損失を発表しています。2012年11月の出荷金額は、前年同月比36.3%減少と市場の減速が急速に進んでおり、完全に、市場動向を見誤っています。
2012年の途中の累計 金額が半減近い減少
1~11月までの累計では前年同期比44%減の1兆4345億円。通年では13年ぶりに2兆円割れとなる見通し。(日経新聞)市場動向は、11月の単月よりも2012年を見ると、市場の減速が分かります。デジタル家電の出荷金額、13年ぶりとなると、1999年前後の話であり、20世紀の市場規模に戻っています。
(3)白物家電の出荷額がデジタル家電を上回る
一方、日本電機工業会(JEMA)がまとめた1~11月の白物家電の累計出荷額は同0.8%減の1兆9793億円。1年間を通して白物家電の出荷額がデジタル家電を上回るのはほぼ確実な情勢だ。(日経新聞)デジタル家電の、国内出荷額の変動が急激なのに対して、白物家電はほぼ変化がないのが特徴的ですね。再度、市場規模について見てみましょう。
(4)地デジの反動でテレビが激減
出荷額が地デジ特需で激増
11年7月の地上デジタル放送への移行も逆転の一因だ。駆け込みで10年の出荷額は約3兆9千億円とAV機器の出荷額が白物を逆転した02年の約2倍に達したが、反動が出ている。(日経新聞)2010年度の、地デジ買換え需要が、いかに大きかったかがよく分かります。大手電機メーカーの業績の分かれ目は、この水準に合わせて投資計画を行ったとすれば、採算が合わなくなりそうですね。
今年2012年は、市場規模が2兆円を切ることが予想されていますが、2010年と比較すると半減していることになります。その原因はどうやら、価格のようですね。
テレビの平均単価激減が、激減の理由の一つ
調査会社のGfKジャパン(東京・中野)によると12年1~11月のテレビの平均単価は5万3900円。09年よりも53.4%下がった。(日経新聞)テレビに限って見ると、価格が半減以下に下落しています。管理人も、最初目を疑ったが、1インチ当たりではなく、平均単価です。
(5)白物家電は価格が安定
白物家電は価格下落が限定的
一方、白物は比較的安定している。冷蔵庫は10.7%下落の8万4000円、洗濯機では8.9%下落の5万9900円にとどまる。省エネ性能を高めた新製品が相次ぎ登場し、安定した買い替え需要があるためだ。(日経新聞)デジタル家電と比較すると、白物家電は価格が下落しているものの、限定的に留まっているようですね。管理人の私見では、競争激化は勿論ですが、地デジ需要でテレビは需要が先食いされたように見えました。
高級品にも需要あり
掃除機や炊飯器では高機能商品が人気を集め、理美容関連分野で新製品が登場していることも約2兆円の市場を下支えする。(日経新聞)白物家電について、パナソニック美容家電はアマゾンを海外で活用して、販売促進を行う事を発表しています。この分野では、パナソニックの成長に期待できるのかもしれないですね。
(6)パナソニック白物家電が稼ぎ頭に
パナソニックは13年3月期に白物家電の売上高が1兆5400億円となり、AV家電(1兆4100億円)を逆転する見通し。 (日経新聞)
営業利益の6割近くを白物家電で稼ぐ計画だ。(日経新聞)パナソニックの業績予測は、デジタル家電市場の縮小と白物家電の底堅さを象徴しているのではないでしょうか。
(6)デジタル家電市場、成長神話は嘘だった
デジタル家電市場は国内、国外企業と競争激化
ここから、管理人の私見です。デジタル家電市場は一時、成長を続けていましたが、各種要因で消耗戦に突入していたのは、共通の認識であると思います。簡単に挙げると、下記の要因が思い浮かびましょう。
- パナソニック、シャープ、ソニーなど国内企業同士の競争
- 韓国・台湾・中国など海外企業との競争
- 為替の超円高
パナソニックの業績はデジタル家電と白物家電の逆転を象徴
一時、もてはやされていたデジタル家電市場は素晴らしいが、白物家電はダメだという風潮があったと思いますが、単なる流行であったことが結果として読み取れる事ができると思います。勿論、デジタル家電は急成長の市場であった事は、間違いないのでしょう。ただし、モジュール化の度合いや、国内企業や海外競争との競走の激しさを見ると、一元的に正しかったとは言えないのではないでしょうか。
(7)パナソニックの海外事業戦略の変更
パナソニック海外事業でインド拠点完成が報じられていますが、生産品目は白物家電が中心であり、海外市場でも成長が期待できることを表しているのでしょうね。パナソニックの業績予測で、白物家電が営業利益の6割を占める計画である事は、国内に限って言えば、デジタル家電市場の成長神話が崩壊した事を表しているのかもしれないですね。
パナソニック白物家電 円安で国内生産増加することを検討しており、政権交代で超円高政策の是正が、欧州拠点や中国拠点を再編して、日本拠点での生産増加に繋がりそうですね。 スポンサードリンク
0 件のコメント:
コメントを投稿