パナソニックの内実
パナソニックは、前期の巨額の赤字に加えて、今期の赤字予想により、財務体質が危機的状況にある事が市場で意識されている。日経新聞2012年12月11日から始まる連載で、その内実が描かれているので、見てみよう。パナソニック本社で経営陣のやりとり
「本当にこんな会計処理をしなければいけないのか…」。10月下旬、大阪門真市のパナソニック本社ビル。最高財務責任者(CFO)常務の河合英明(58)は何度も自問した。だが迷っている時間はない。
A4用紙にして5枚の経理報告書を携え、2階にある「報告会議室」に向かった。待ち受ける社長の津賀一宏(56)に祈るような気持ちで報告書を差し出した。津賀の顔がみるみる赤みを帯びるのがはっきりわかった。パナソニック本社で、経営陣が決算の数値についてやり取りをしていた様子を、日経新聞は報じている。会計処理について話が出ているが、パナソニック赤字の原因は、減損損失が大きな要因の一つだ。
最終決算が大幅な赤字予想
「なんやこれ…。去年と同じやないか」
そこには2013年3月期の連結最終赤字が七千数百億円にのぼるという内容が記されていた。パナソニックは前期、製造業で過去最大規模の7721億円の最終赤字を計上したばかり。
あの時、社員の誰もがウミを出し切ったと思っていた。いつもは即断即決の津賀も、この時ばかりは言葉を失った。パナソニック中間決算大幅赤字であると発表したが、発表直前は、その数字に経営陣も色めき立っていたようだ。前期の最終赤字と、今期の最終赤字を足すと、1兆5000億円にも上る。なみの会社であれば、倒産しているであろう。
1兆5000億円の大赤字と中村改革
最終赤字は2年で1兆5千億円にのぼる。今年6月まで12年にわたり社長、会長を務めた相談役の中村邦夫(73)の戦略が、結果として実を結ばなかったことを示す。当時、中村氏の改革について、パナソニックの御用記者を中心に絶賛されていたことを覚えている人も多いと思う。たしかに、パナソニックが従来、手をつけにくかった部分のリストラを中村氏は行っている。
2000年に社長に就任した中村は「松下幸之助の経営理念以外、聖域はない」と宣言。事業部制の廃止、旧松下通信工業の買収、系列販売店の改革、2万人の従業員削減、多額の負債を抱えた創業家の資産管理会社の清算と、矢継ぎ早に改革を断行した。2001年度に赤字だった業績もV字回復した。
その一方で、巨額の投資を行ったが、これが大失敗に終わったようだ。
中村氏など旧経営陣が巨額の投資に失敗
裏目に出たのは、2004年以降の大型投資だ。兵庫県尼崎市にプラズマパネルの第1~3工場を建設するテレビ事業に5000億円以上を投じた。成長市場とみた車載用電池や太陽光パネルに強みを持つ三洋電機を8000億円で買収した。ここでは、テレビ事業、車載用電池、太陽光パネルについて商品名がでている。パナソニックは太陽光の海外重視を鮮明にしているが、事業は黒字のようだ。
パナソニックは、円高や韓国企業との競争により、決算内容が悪化したと言える。それと同時に、テレビ事業への巨額投資や三洋電機の買収が高値掴みであったという指摘も否定できないかもしれない。パナソニック赤字決算発表の真相(2)に続く。 スポンサードリンク
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