前回の、パナソニック資金繰りの真相(5)を見ると、パナソニックが資金繰りへの危機感から、銀行融資に申し込む社内事情があった。その後、パナソニックの格付けが格下げとなるが、その衝撃が社債市場に走っていたようだ。日経新聞2012年12月13日を見てみよう。
資金繰りが経営課題に
こうした状況からいち早く脱したい-。
数日後、社長の津賀一宏(56)は幹部らを集めた会議で、資金をひねり出すための全社プロジェクトを自ら立ち上げた。「これ以上、資本市場の信頼を失えば、まさに会社存続の危機だ」。事業戦略を練り直すのも大事だが、まずは今期末までにキャッシュ2000億円を捻出することが最重要課題となった。パナソニックの取締役会が、銀行との融資枠契約を締結してから数日後、リストラによる資金調達が検討されたようだ。すでに、発表されているが、パナソニック電工の旧本社ビルをリストラしたことや、社会人スポーツやスポンサー契約の見直しがこれにあたるだろう。
社債市場で信用喪失 パナソニックショック
業績見通し大幅引き下げ後の、社債市場
しかし、今期に7650億円の最終赤字を計上する見通しと発表した10月31日に午後。日系証券会社のある債券ファンドマネージャーは、目の前のモニター画面にくぎ付けになった。「こりゃあ、荒れるぞ」パナソニックは中間決算大幅赤字であると、10月31日に発表。中間配当を見送るとともに、今期の業績見通しを7650億円の赤字と、8150億円も引き下げた。
社債市場では、この決算発表に衝撃が走ったようだ。これだけの業績悪化であれば、ある意味、当然かもしれない。
パナ債に売り注文殺到
パナの社債発行残高はすでに9300億円で国内最大規模。投資家にとってその信用力が魅力だったが、この日を境に評価を一変する。「もう信用できない」。夕方の取引開始直後からパナ債の売り注文が殺到。社債市場に"パナソニック・ショック"が走った。社債発行残高が、9300億円となると相当な規模だ。担保の面で異なるが、電力債に匹敵する規模であると言えるのではないだろうか。
この後に、パナソニック格付けが格下げされたが、パナソニック社債の格付け格下げの影響は、限定的であったと報じられている。おそらく、パナソニックの中間決算発表時の業績予想の大幅な下方修正の時に、かなりの程度、市場は織り込んでいたという事であろう。
パナソニック大赤字の影響
2年で1兆5000億円の赤字という未曾有の危機。それは、松下幸之助が興し、長らく家電製品で日本の家庭を支えたパナソニックの産業界、市場での地位が大きく変わったことを象徴する出来事なのかもしれない。ある主力取引銀行の元首脳は感慨深げにこう語った。
「あれだけ銀行なんか関係ないと言ってた頑固なパナさんも、ようやく我々のいう事を聞く気になったわけや。津賀さんには期待してるよ」パナソニック社債は、ジャンク債に転落しており、以前のように低い金利で社債市場から、資金調達することは困難になっている。
また、パナソニックの株価は、低迷しており、増資は既存株主に負担が大きいことから、増資は行いにくい。
そのため、当面の間は銀行融資に頼る他ないのが実態であろう。パナソニックが財務体質改善に繋げる事ができるのか、注目かもしれない。パナソニック投資縮小の原因(7)に続く。 スポンサードリンク
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