(1)パナソニックの投資先がない
前回、パナソニック投資縮小の原因(7)を見ると、黒字事業であっても市場の競争が激しいことを紹介しました。買収と投資の失敗を補う為に、手元資金の確保を優先、投資を途中で打ち切っています。投資先の成長事業がない事に、パナソニックの津賀社長が悩む姿を、日経新聞2012年12月14日2面から見てみましょう。
(2)成長事業の模索
津賀はいま、「これだ」と言う必要はないと考えている。太鼓判を押せる成長事業がないのは事実。(日経新聞)パナソニック社内の評判は、津賀社長と中村相談役ではかなり差があるようです。パナソニックの中村相談役は投資の失敗により、パナソニックの事業育成に失敗しました。津賀社長は、パナソニック大物OBの集まりの中で、成長事業がない事を説明していますが、OBはこれに驚いており認識の差が気になるところです。
(3)主要事業は営業黒字を見込む
しかし巨額赤字を計上するとはいえ、7つある主要事業は今期いずれも営業黒字を見込める。「メーカーだからといって技術やモノづくりから話を始めたらダメ。お客様が求める商品やサービスを追及していけば、道をおのずと開ける」(日経新聞)パナソニックは、営業黒字を見込めると日経新聞は報じていますが、パナソニック社員のリストラ70,000人がこの2年半の会社の状況です。パナソニックの業績と利益について、簡単に見てみましょう。
(4)営業外費用が、リストラと減損損失で膨らむ
営業利益の減少と営業外損益の理由
パナソニック中間決算大幅赤字で日経が書かなかったことを見てみましょう。パナソニックの中間決算のIRには以下の内容が記載されています。営業利益につきましては、この売り上げ減少が大きく影響し減益となる見込みです。(パナソニック中間決算資料)
営業外損益(5,050億円の損失)には、事業構造改革費用4,400億円が含まれています。(パナソニック中間決算資料)パナソニックの営業黒字は、会計処理を考えれば簡単な話になります。
リストラで営業費用は減少するが営業外費用は増加
- 売上高
- 営業損益(給与や減価償却費などがリストラにより低下)
- 営業外損益(リストラ費用の計上で大幅に増加)
- 特別損益
(5)石川遼がテレビについて質問
9月中旬、兵庫県で開催した男子ゴルフツアーの「パナソニックオープン」。津賀はパーティーの席で同社所属のプロゴルファー、石川遼(21)から質問を受けた。「御社のテレビは今後どうなるんですか?」(日経新聞)石川遼とパナソニックが契約終了することは、すでに発表されています。管理人の推測ですが、石川遼選手は契約打ち切り前に、パナソニックの業績悪化の原因であるテレビ事業を気にしていたのではないでしょうか。
(6)パナソニックはテレビ事業縮小を決定
世間には「家電の王様はテレビ」という意識がなお残る。パナソニックは昨年、そのテレビ事業の縮小を決めた。次の一手を迫る消費者や市場。本当に顧客目線に立ったメーカーに生まれ変わるには、それなりに時間が必要と考える津賀との間にはまだギャップがある。(日経新聞)パナソニックは、テレビ事業の縮小を決めており利益構造も大きく変化しています。
パナソニックの経営体質を見ると、白物家電事業が主力事業となっています。パナソニックのこの姿を、昔に戻ったと感じる人はいるかもしれません。
デジタル家電の現状と今後について、シャープとパナソニックの違いを見ると、パナソニックに白物家電があった事が命運を分けた事が分かります。
パナソニックは、成長事業がないとしていますが、今後、どういった分野に注力するのか注目ではないでしょうか。パナソニック社員の不満と組織変更(9)に続く。 スポンサードリンク
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