パナソニックテレビ価格下落と赤字(5)

パナソニックテレビ価格下落と赤字について見るときに、パネル価格が10分の1に下落していることから、採算が厳しくなっていることが分かります。パナソニックだけでなく、シャープやソニーも薄型テレビ市場の競争激化により採算が悪化しており、家電メーカーの投資が失敗であったことが分かります。

(1)テレビ価格が10分の1に下落

パナソニックテレビ撤退が遅い理由(4)について見ると、パナソニックは採算や事業の将来性ではなくプライドで判断が遅れた事が大赤字の要因の一つです。パナソニックのテレビ撤退の判断が遅れた事でパネル価格が大きく下落していることを、2013年3月19日の日本経済新聞13面が報じています。

もっとも、パネルの投資負担に耐え切れなくなったのは、プラズマに限った話ではない。液晶も中国勢などの参入で供給過剰になり、かつて1インチ当たり1万円を超えていたテレビの価格は1000円にまで暴落した。「テレビ用パネルで利益が出ているメーカーは少ない」(パナソニック幹部)

パナソニックは、テレビ価格下落の影響を大きく受けましたが、1インチ当たりのテレビの価格が10分の1に下落すると、パネル販売価格も値下げする必要があります。

パナソニックは、プラズマテレビとプラズマテレビ用パネルで世界首位ですので、液晶テレビのようにパネル仕入先を探すことは事実上、無理です。

パナソニックは薄型テレビのうち、プラズマテレビの製造を停止しなければ、プラズマテレビ用のパネル製造が不足すると言うジレンマを抱えていたことが分かります。

このため、日本メーカーはテレビ向けパネルから手を引きつつある。シャープは12年、世界最大の液晶パネルを量産できる堺工場(堺市)に台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業から出資を受け、連結子会社から外した。

シャープは堺工場を連結子会社から外しましたが、シャープのテレビ事業をホンハイが再建しており、経営能力にも大きな差があることが明らかになっています。シャープは、堺工場の販売先確保に失敗していましたが、ホンハイはソニーとの取引関係を戻すことで、稼働率向上に成功しています。

ソニーは12年1月に韓国サムスン電子との液晶合弁を解消した。

ソニーはサムスンとの液晶合弁を解消していますが、シャープはサムスンに液晶パネル供給を拡大する方針を示しており、企業の勢いに差があることが分かりますね。

パナソニックやソニー、シャープ赤字の原因は、テレビ価格下落による減損損失があることが分かります。パナソニックは、プラズマテレビと液晶テレビの両方を生産しており、テレビ価格下落の影響が大きかったことが分かります。

パンソニック、ソニー、シャープの利益を見ると、薄型テレビをはじめとしたデジタル家電ではなく、違う部門が利益を稼いでいることが分かります。

大手家電メーカーの業績を見ると、薄型テレビは業績の足を引っ張るだけになっていることが分かるのではないでしょうか。

00年代以降、薄型テレビへの膨大な更新需要が期待された。基幹部品であるパネル事業で世界の覇権を握り、リターンをさらに上乗せする賭けに出た電機大手。投資資金を回収できぬまま事業戦略の見直しを迫られた。

パナソニックだけでなく、大手家電メーカーはテレビ価格の下落により投資資金を回収できませんでした。パナソニックプラズマTV撤退(1)は、リストラの遅れの象徴ですが、大手家電メーカーの業績を見ると、薄型テレビ事業が業績に貢献していないことが分かりますね。

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