パナソニック投資縮小の原因(7)

スポンサードリンク
パナソニックが投資縮小とリストラを発表しているが、その原因を見ると黒字のうちに市場動向を見て判断したものがあるようだ。

黒字のうちに、市場動向を見て投資を縮小したのであれば、株価に対して結果的に、前向きな効果があるのではないだろうか。


社債と銀行借入

前回、パナソニック社債ジャンク債の衝撃(6)で、パナソニックが格付け低下により9300億円の発行残高の社債市場に衝撃が走った事を紹介した。社債は、格付けが投機的水準になると、新たに社債を発行する事は困難となる事も、パナソニックには痛手だ。

そのため、パナソニックは三井住友銀行を主幹事とする、借入を決断している。それと同時に、手元資金の確保のために、リストラや投資の選別を進めている。日経新聞2012年12月14日2面と見てみよう。

パナソニックの太陽電池事業

マレーシア北西部のケダ州。太陽電池の新工場が今月から操業を始めた。「ここまでこぎ着けるのが、どれだけ大変だったか……」。第1期工事を終えた太陽電池事業トップの吉田和弘(52)の心中は複雑だ。(日経新聞) 
パナソニック海外事業は、インド拠点完成が報道されており、業績悪化の中でも有望市場には、投資を継続していることが分かる。

津賀社長が、手元現金の確保のために目を向けた投資事業について見てみよう。津賀社長と、担当の吉田氏の間で、やりとりがあったようだ。

津賀社長 追加投資の見直しを指示

津賀社長と吉田氏のやりとり

5ヶ月前の7月上旬。吉田は大阪府南部の貝塚市にある太陽電池の主力拠点「二色の浜工場」で、社長に就任して間もない津賀一宏(56)を出迎えた。工場の案内を終えた吉田は、津賀から予想外の通告を受ける。(日経新聞)
今回の投資凍結の話は、2012年7月上旬の話のようだ。2012年10月にパナソニック太陽光の海外重視と問題点として敷地に拡張用スペースがあるが、12月に完成が報道されていた。

どうやら、第2期工事の追加投資を止める事を決断していたようである。

マレーシア太陽電池事業 第2期工事の見直し

「太陽電池は今後の収益見通しが極めて厳しい。マレーシアの第2期工事に向けた追加投資は全面的に見直す」(日経新聞)  
「ちょ、ちょっと待ってください」。焦る吉田に構わず、津賀は淡々と続けた。(日経新聞) 
うちは今、資金を蓄えなければならない。マレーシアにはすでに450億円を投じた。社内で一番大きい投資を削るのは当然でしょ」(日経新聞)
2012年12月のパナソニック太陽光の海外重視と問題点の報道では450億円の投資となっており、これは1期工事のことを差しているようだ。この投資により、海外生産比率を現在の3割強から2013年度中に5割強に引き上げ、生産コストは2割削減できたようだ。

巨額の投資により、生産コストは低下したが、問題は売れるのかどうかだ。

パナソニックの太陽光事業の主力向上になる事が想定されるが、津賀社長は、シャープが219億円の赤字、京セラが21億円の赤字に苦しむ中、黒字のうちに投資戦略の転換を決断したようだ。

利益の高い事業 投資は海外動向を見て停止

同事業は7%前後の営業利益率を確保し、シャープや京セラなどが赤字に苦しむ中で抜群の収益力を誇る。それでも津賀の目にその将来は厳しく映る。最大市場だった欧州は急減。中国勢の台頭で価格下落も続く。(日経新聞)
デジタル家電の現状と今後について、シャープとパナソニックの違いを見たが、その中で白物家電事業や太陽光事業など、他の事業の規模と業績が最大の違いだ。

パナソニックが黒字のうちに投資を選別する事は、赤字で身動きがとれなくなった、デジタル家電事業と比較すると歴然とした差がある。

過去の投資事業に減損損失を計上

「いま手を打たなければ傷口は広がる」。パナソニックは10月31日の決算発表で太陽電池事業などに関わる減損で4400億円もの特別損失を計上した。(日経新聞)
パナソニック以外にも減損損失を計上しており、家電3社の業績悪化の一因となっている。
パナソニック、ソニー、シャープこの3社の業績悪化の原因はデジタル家電の価格下落などにより、投資に見合った利益が得られなくなった事が要因となっている。

パナソニックは、黒字事業の投資縮小と同時に、減損損失を太陽光事業でも計上した事は、注目すべき事ではないだろうか。パナソニック ハンガリー太陽電池工場リストラ理由を見ると、為替レート円安により生産拠点集約を2013年7月に発表しており、マレーシア工場の過剰投資が防げたようですね。

三洋電機買収と投資の失敗 

2009年、パナソニックは約8000億円を投じて三洋電機を買収した。三洋が持つ太陽電池などの電池技術が欲しかったからだ。それからわずか3年。津賀は先行きを暗示、迷いなく投資を凍結した。(日経新聞)
パナソニックは、投資凍結を決断したが、三洋電機事業の買収を決断したのは前経営陣である。投資判断の失敗により、パナソニックは借金1兆円、2兆5千億円を喪失している。津賀社長が、過去の経営陣と投資失敗から決別しようとしている現われなのだろうか。パナソニック成長事業がない(8)に続く。
スポンサードリンク

関連記事・:


0 件のコメント:

コメントを投稿

最近の記事
Google を含む第三者配信事業者は、Cookie を使用して、ユーザーのウェブサイトでの閲覧履歴に基づく広告を配信します。 Google 広告 Cookie を使用することにより、Google や Google のパートナーは当サイトや他のサイトへのアクセス情報に基づく広告をユーザーに表示できます。 ユーザーは広告のオプトアウト ページ
で Google 広告 Cookie を使用しないよう設定できます(また、Network Advertising Initiative のオプトアウト ページでも第三者配信事業者の Cookie の使用を無効にできます)。