企業の利害関係者
パナソニックの決算発表の裏側について、パナソニック赤字決算発表の真相(2)で紹介した。パナソニックの役員内部で、減損損失の厳格な適用について決算発表直前まで意見が分かれていた様子が報じられている。日経新聞2012年12月12日2面に、パナソニックが行ったリストラの人数、喪失した時価総額の金額について報道されている。
企業の利害関係者は、株主だけでなく、社員・銀行・取引先・税収を受け取る自治体など多岐に渡る。注目すべきは、パナソニックの津賀社長が、社外の目が予想以上に厳しいことをはじめて肌で感じたと報じられている点である。
パナソニック社内のパナソニックに対する見方と、社外とではかなり温度差があった可能性が示唆されている。
パナソニックがリストラした人数
6万2690人-。経営再建中のパナソニックは人員削減をまとめ発表している。日経新聞が、この2年半にリストラされた人数と今年度にリストラされる人数について報じられている。
大手企業の社員数ではない。過去2年半にパナソニックを去った社員の数だ。来年3月末までにあと8000人減る予定。年中行事のようなリストラでコストを切り詰めてきたが、長年のけん引役だったテレビに代わる成長事業が見えない32万人の巨大企業に市場は容赦ない。
パナソニックがリストラした人数と、これからリストラする人数を足し合わせると70,000人を超える膨大な人数になる。巨大企業であることを感じるとともに、経営危機の深刻な度合いが、リストラの人数から分かる。
株主から批判
「一体、株主を何だと思っているのか」。今年7月後半。ある投資銀行幹部はパナソニックの社長に就任して日が浅い津賀一宏(56)に、初対面の場で強烈なパンチを浴びせた。社長就任後に、投資銀行幹部とのやりとりが描かれている。7月後半の話とは言え、株価が暴落しているのだから、当然と言えば、当然の話ではある。
パナソニック株価が高い水準に、一気に上昇してはいるが、年初と比較すると大幅に下落しており、時価総額は1兆2000億円に留まっている。昨年度よりも以前と比較すると、尚更、株価の下落を実感するであろう。
パナソニック株主総会2013内容を見ると、役員退職慰労金を18億円支給したことに株主から批判がでていますが、津賀社長に廃止する力はなかったようですね。パナソニック ボーナス2013をリストラしており、退職した役員は痛みを分かち合う気がないことが分かります。
時価総額は4分の1 社外の目を初めて肌で感じる
その時点で時価総額は1兆3千億円。4年前の4分の1以下だ。「全く反論の余地はなかった」という津賀は、技術畑の出身で長らく研究所で会社人生を送ってきた。投資家という「社外の目」が予想以上に厳しいことを初めて肌で感じた瞬間だ。だが、日を追うごとに現実の厳しさを知ることになる。
パナソニックの時価総額は、津賀社長と投資銀行幹部のやりとりの時点で、1兆3000億円。衆議院選挙後に、パナソニックの株価は回復したが、それでも1兆2000億円であり、時価総額が約4年前の4分の1以下に下落していることが分かる。
管理人が驚いたのは、パナソニックのような名門の東証一部上場企業の社長になる人物が、社外からの指摘についてほとんど触れる機会がなかった点である。パナソニックの問題点に御用記者の存在がでているが、パナソニックに遠慮してメディアなど、外部から厳しい指摘を受ける機会が今までなかったのかもしれない。
その一方で、これまで研究所生活で、しがらみがあまりないからこそ大胆な減損損失の計上に踏み切れたと言えるかもしれない。次回は、パナソニックの財務悪化を中心に見ていきたいと思う。パナソニック借金1兆円 2兆5千億円喪失(4)に続く。
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