(1)家電事業と自動車部品事業の違い
前回、パナソニック自動車部品事業の買収検討理由(3)について見ていきましたが、パナソニック自動車事業の競争力が高いという指摘があるので見てみましょう。テレビやスマートフォンといった消費者向けのB2C商品はやり廃りが激しく、価格もすぐに下落する。自動車をはじめとする企業向けのB2Bは参入彰壁こそ高いが、いったん食い込めば、利益の源泉となり続ける確率が高い。パナソニックは自動車事業の拡大を目指していますが、家電分野との違いについて簡単に見てみましょう。
- 消費者向けのB2C商品はやり廃りが激しく、価格もすぐに下落
- 企業向けのB2Bは参入彰壁が高いが、利益の源泉となり続ける確率が高い
パナソニックの津賀社長は、パナソニック自動車分野に投資(1)を発表していますが、企業向けのため堅実であり流行に左右されない、利益率の高い分野であると分析したようですね。
(2)自動車部品事業は競合他社との競争が激化
パナソニックだけでなく日立製作所や三菱電機といった電機メーカーも自動車分野でのビジネス拡大を狙っている。
「パナソニックが強化しようとしている安全・安心、快適、電動化といった分野は、すでに自動車業界のサプライヤー各社がしのぎを削っている。これからもますます競争が激しくなる分野だ」とIHS・オートモーティブで自動車部品調査を担当する安宅広史マネージャーは指摘する。パナソニックは、自動車部品事業の強化を経営課題としていますが、競合他社と競争が激化しており、パナソニックの事業規模は小さいと言えそうですね。
パナソニックの競合他社を見ると、大手電機メーカーが自動車部品事業を狙っており、家電の技術を生かせる企業は他にもありそうですね。
大手自動車部品メーカー・独コンチネンタルなど外資系はM&Aを繰り返し大きくなってきた。すでに技術開発も進んでいる。厳しい競争に勝ち抜き、2兆円目標を実現することはできるのか。カギはやはり、環境車ビジネスが握っている。パナソニック津賀社長は、パナソニック自動車部品事業の買収検討理由(3)で、M&Aの可能性も示唆していますが、海外企業の規模拡大を見てきたのかもしれないですね。
(3)パナソニックの家電技術を応用
自動車の電動化が進むことは自明だ。インバーター付きの電動コンプレッサーや充電システム、電池などがパナソニックの新たな商材に加わり、ビジネスチャンスが拡大する。
パナソニックが家電で培ってきた技術が生きる分野でもある。非接触充電システムであればIHクッキングヒーター、電動コンプレッサーであればエアコンや冷蔵庫の技術が応用できる。パナソニックは、家電技術を応用することで自動車部品事業の競争力が高いという見方もできそうですね。パナソニックの自動車部品事業で気になるのは、2013年7月にパナソニック自動車部品カルテルで罰金を支払っています。パナソニックが日系自動車メーカーとの取引に何らかの影響がでれば、経営戦略が狂うかもしれないですね。
パナソニック2014決算黒字の理由をまとめましたが、業績回復によって投資余力が増していると言えます。パナソニックは、自動車部品事業の強化を経営課題に掲げており、2015年3月期決算は増益に繋げることができるのか注目ですね。
(4)パナソニック自動車部品事業の能力に期待
「パナソニックはすでに自動車業界には精通していて十分なバックグラウンドを持っている」(大手証券会社)と評価する向きもある。「B2C商品に割いていた経営資源を全力で自動車向けに振り向けるというのであれば期待は大きい」。パナソニックは、自動車部品事業の能力に期待する分析もあるようですが、家電技術の応用に成功すれば、自動車部品事業の競争力は高い可能性がありますね。パナソニック テレビ事業の赤字と投資失敗(5)に続く。 スポンサードリンク
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