(1)パナソニック持合い株売却
パナソニックは民主党政権による円高ドル安誘導により、海外企業との価格競争力が大きく低下して経営が大きく悪化しました。パナソニックは経営再建のために、持ち合い株売却を発表しましたが、政権交代とアベノミクスによる株価の回復と為替レートの円安ドル高により業績が回復しつつあります。パナソニックが保有株式を売却した目的は、手元資金の確保でしたが、アベノミクスによる株高で、株式の売却益を300億円計上することに成功しています。
(2)パナソニックが売却した株式
- トヨタ自動車 2012年3月末2739万株 2013年3月末900万株
- ホンダ 2012年3月末1127万株 2013年3月末100万株
- ダイキン工業 2012年3月末750万株 2013年3月末0株か少額のため開示せず
- TDK 2012年3月末312万株 2013年3月末0株か少額のため開示せず
- 新日本製鉄 2012年3月末3598万株 2013年3月末0株か少額のため開示せず
- 小糸製作所 2012年3月末428万株 2013年3月末0株か少額のため開示せず
- 住友金属工業 2012年3月末1926万株 2013年3月末0株か少額のため開示せず
パナソニックは日本を代表する上場企業ですので、日本の優良銘柄の株式を多数保有しています。パナソニックが自動車メーカーの株式を保有しているのは、自動車部品事業に注力していることを考えると納得できますが、他社の株式は、保有している意味がよく分からないですね。
パナソニックの株式保有は、事業拡大や提携関係を深めるというよりも、ファンドによる買収防衛を目的とした金融戦略の可能性が高いと言えます。パナソニック中間配当予想と復配を行えた理由は、業績改善だけでなく、持ち合い株式や不動産の売却による手元資金の改善が行えたことですね。
(3)パナソニックの資産リストラ
パナソニック保有株売却の種類について、2013年6月28日の朝日新聞デジタルが、パナソニック、保有株6割売却 1400億円分を報じているので見てみましょう。パナソニックが2013年3月期、保有株式の約6割を売却し、総額が約1400億円減少したことが27日、同社が公表した有価証券報告書で分かった。過去の工場建設や企業買収などで抱えた有利子負債を減らすため、資産の売却を進めている一環。パナソニックは経営失敗により、投資資金を回収できずリストラを継続的に行っていますが、保有株の売却もその一環ですね。
パナソニックの買収失敗の一つは、三洋電機の高値による買収ですが、不十分な資産査定の結果、リストラにより三洋電機は解体されます。
パナソニックの役員を見ると、三洋電機の買収や巨額の設備投資に失敗した世代は、株価下落やリストラの責任がありますが、役員は18億円の退職金を受け取っており批判が集まっています。
(4)パナソニック保有株式の状況
パナソニックが取引強化などの目的で保有していた株式は、12年3月末で228銘柄、2288億円。これが今年3月末に177銘柄、878億円に減った。パナソニックは保有株式の売却により現金確保を進めていますが、有価証券の売却による資金確保は一度しか行えませんので、今期の業績回復に注目があつまっています。
- 2012年3月末保有株式 228銘柄 2288億円
- 2013年3月末保有株式 177銘柄 878億円
- アベノミクスによる株価の上昇
(5)資産リストラと株式売却の影響
音響機器やバッテリーなどで取引のあるトヨタ自動車やホンダ、マツダなどの国内自動車メーカーの株式を売って半分から約1割に減らしたほか、昨年10月に合併した新日本製鉄と住友金属工業の株式も大半を売却したとみられる。パナソニックは資産リストラを進めていますが、株式売却の影響は限定的になる可能性が高いのではないでしょうか。パナソニックは自動車部品事業に注力することを発表していますが、パナソニック自動車でリストラ追加の人数を見ると、リストラを継続しているようですね。
パナソニック保有株売却の種類を見ると、資産リストラを継続していることが分かりますが、資産売却による資金で成長分野に投資を行うことができるのかがポイントになります。パナソニックのように、過去の業績がよかった会社は、資産を売却することでリストラの資金を確保することができると言えますね。
パナソニック2014決算黒字の理由をまとめましたが、保有株や不動産の高値売却が、ラッキーによって成功しています。パナソニックは、ラッキーによって経営危機を脱しましたが、2015年3月期決算の業績は、本業が回復しているのかが焦点になると言えそうですね。
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